経済財政運営と改革の基本方針2025について(内閣府) 2025/06/13
https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/cabinet/honebuto/2025/2025_basicpolicies_ja.pdf
骨太の方針2025では、「かかりつけ医機能の制度化」が明記されており、2025年度からの本格施行に向けた準備が進められている。これは、主に医科を対象とした制度設計であるが、地域包括ケアシステムの中での歯科医療の役割にも直結する内容である。
「OTC類似薬の保険給付の在り方の見直し」が改めて盛り込まれた。これにより、病院で処方される医薬品のうち、市販薬(OTC医薬品)と同様の成分・効能を持つものについて、保険給付の対象からの除外や自己負担増が検討される。歯科領域においては、術後鎮痛薬や口内炎用の薬剤など、OTC医薬品と類似の処方薬が一部含まれている可能性がある。
歯科医療に大きく関わるところとして、下記の文言が記載された。
“糖尿病と歯周病との関係など全身の健康と口腔の健康に関するエビデンスの活用、生涯を通じた歯科健診(いわゆる国民皆歯科健診)に向けた具体的な取組、オーラルフレイル対策・疾病の重症化予防に繋がる歯科専門職による口腔健康管理の充実、歯科医療機関・医歯薬連携などの多職種連携、歯科衛生士・歯科技工士の離職対策を含む人材確保、歯科技工所の質の担保、歯科領域のICT活用、歯科医師の不足する地域の分析等を含めた適切な配置の検討を含む歯科保健医療提供体制構築の推進・強化に取り組むとともに、有効性・安全性が認められたデジタル化等の新技術・新材料の保険導入を推進する。また、自立支援・在宅復帰・社会復帰に向けたリハビリテーションの推進に取り組む。”
これまで、「全身と口腔の健康の関係〜」として包括的に語られていた内容に、今年度からは初めて「糖尿病と歯周病の関係〜」という疾患レベルでの具体的言及がなされた。今後、歯科医療の全身管理との関係性を政策的に明確化する動きであることが考えられ、医科歯科連携の強化や、保険制度上の評価に波及する可能性がある。
また、歯科技工士の人材確保だけでなく、歯科技工所の品質管理・経営体制の整備にも焦点が当てられた「歯科技工所の質の担保」「歯科領域のICT活用」という単語が盛り込まれたほか、歯科医師の地域偏在が言及され、「歯科医師の不足する地域の分析等を含めた適切な配置の検討を含む歯科保健医療提供体制構築の推進・強化」といった表現が新たに加わった。
昨年同様に、質の高い公教育の再生として、「歯科保健教育や学校給食での地場産物等の活用を含む食育を推進する」も記載されている。
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